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個人情報がだだ漏れ?データのニューディール政策で情報の所有権を消費者に【100冊書評#003『IoTの衝撃』】

IoTの衝撃―――競合が変わる、ビジネスモデルが変わる (Harvard Business Review)

IoTの衝撃―――競合が変わる、ビジネスモデルが変わる (Harvard Business Review)

『IoTの衝撃』という本を読んだ。中でも最終章のデータのニューディールが興味深かったのでメモ。

データのニューディールとは、どのようなデータが収集されているかを可視化して、収集を認めるかどうかを本人の意思で決められるようにしようとする取り組みだ。

現状の問題点

多くの企業がIoT関連の企業を買収し、手当たり次第にデータを集めている。しかし、その現状は約款などに書かれているだけで、消費者が積極的に情報の利用に同意している訳ではない。

このように、消費者にその事実を隠した状態で情報を収集し使用している現状に著者は警鐘をならし、情報収集に対する透明性を確保するとともに、消費者に対して情報利用可否の選択権を与えるべきだとする。

また、情報の所有権を個人に対して認め、それを管理するための銀行や監査システムを設けるべきだと主張する。

特に著者が懸念するのは、各企業が持つ膨大なデータが何者かによって悪用され、死者が出るような惨事が引き起こされることだ。特に現状では多くの企業が消費者の意識的な同意によらずにデータの使用を進めている。そんな中で惨事が起きれば、企業の情報収集と管理に対する信頼は失墜し、企業は財務的にもブランド的にも大きな損害を受けるだろう。

それは一企業に対する影響に止まらず、多くの消費者が情報漏洩リスクを重く見て情報提供を拒否し、有用なデータ収集が不可能になるかもしれない。

打ち手

そのような状況を避けるために、情報収集・利用の現状を可視化し、消費者が意識的に情報の収集・利用を選択できる体制を敷くことが有効である。

情報をコントロールできるという安心感が情報提供とその活用に繋がっていくと著者は主張する。

また、情報に金銭と同様の価値を認め、その管理のための規制や情報保管のための銀行、監視システム等を導入することを提唱する。

私見

IoTやビッグデータ解析等により個人の情報が大量に収集され、その悪用が個人の生活や生命を脅かし得る現代において、その権利者確定や管理方法を考えることは必須事項である。これまでの常識を変えるような大変革には、それをコントロールする制度構築をも必然的に伴う。

加速していくIoTの動きに対応し、未然に惨事を防ぐためにも早急なシステム構築が求められる。情報の権利関係を確定し、管理する法規制を進めるべきだ。

データのニューディールに類する議論はもっともっと取り上げられ、もっともっと話題になっていいはずだ。

GPSの精度向上や交通系ICカードの導入、顔認証機能付き監視カメラ、ETC2.0等、技術の発達により、データから個人の居場所や生活パターンを特定することが容易になりつつある。

さらにSNSやLINE、メール、Googleの検索履歴、IP情報、クレジットカードやamazonの購入履歴、クラウド型ノートや日記等により個人の内面までもが赤裸々になってしまう恐ろしさをはらんでいる。

もっと消費者にその危険性を広め、未だ議論と対策が不十分な情報の権利・管理に対する問題を多くの人が認識し、対策を求めていく必要がある。